Power Automateで承認を自動エスカレーション|期限切れ対応

Power Automateで承認を自動エスカレーション|期限切れ対応

課長に承認を回したはずの申請が、3日経っても4日経っても「承認待ち」のまま画面に残っている。

出張なのか休暇なのか、それとも単に見落としているだけなのか、申請者側からは理由が分かりません。

催促のメールを送るかどうかも、結局は申請者や事務担当が「そろそろ聞いてみようか」と気づいたタイミング任せになっています。

Power Automateの承認アクションには期限を設定できますが、期限を過ぎたあとの扱いまでフローに組み込んでいないと、時間切れの申請はそのまま放置されます。

期限切れを拾って上位の承認者へ自動で回す仕組みを作れば、人が気づく前に次の承認者へ依頼が回ります。

承認の滞留解消を無料で相談する

承認フローそのものの組み方はこちらで解説しています。

放置される承認の問題

承認待ちが滞留する原因は、承認者の不在だけではありません。

届いた承認依頼のメールが他の受信メールに埋もれる、あるいは承認アプリの通知をオフにしている、といった単純な見落としも珍しくないのが実務の実態です。

厄介なのは、承認フロー自体は「エラーなく正常に動いている」ことです。

承認アクションは応答を待っているだけなので、フロー画面を見ても異常は検知されません。

申請者が「まだですか」と聞きに行かない限り、誰も滞留に気づかないまま日数だけが過ぎていきます。

期限切れの承認を自動でエスカレーションする手順

期限切れを起点にした再依頼は、承認アクションのタイムアウト設定、期限切れ時の分岐、上位者への再依頼という3段階で組み立てます。

Step1. 承認アクションにタイムアウトを設定する

「開始して承認を待つ」アクションの設定を開き、タイムアウトの期間を ISO 8601 形式で指定します。

3日で打ち切るなら「P3D」、1日なら「P1D」と入力します。

ここを空欄のままにすると、承認アクションは既定の最大30日(フロー1回あたりの最長実行時間)まで応答を待ち続けます。

エスカレーションの起点となる「期限切れ」を早めに発生させたいなら、規程や社内慣行に沿って何日で打ち切るかを決め、その日数をタイムアウトに入れておきます。

Step2. 期限切れのときだけ動く分岐を作る

承認アクションがタイムアウトすると、承認・却下といった応答結果の値は返らず、アクション自体が「タイムアウト」の状態で終了します。

そのため、応答結果の値を見る条件コントロールでは期限切れを拾えません。

期限切れを拾うのは、後続アクションの「実行条件の構成」です。

エスカレーション側のアクションを選び、実行条件の構成で既定の「成功時」のチェックを外し、「タイムアウトしました」にチェックを入れます。

こうすると、そのアクションは承認アクションがタイムアウトしたときだけ動きます。

承認または却下があったあとの通常処理は別の並列分岐に置き、実行条件は「成功時」のままにします。

これで、期限内に応答があれば通常処理へ、応答がなければエスカレーション側へと流れが分かれます。

Step3. 上位者へ承認を自動で再依頼する

期限切れ側の分岐に、2つ目の「開始して承認を待つ」アクションを配置し、そのアクションの実行条件の構成を「タイムアウトしました」に設定します。

割り当て先は一次承認者から一段上の承認者に変更し、タイトルや詳細には元の申請内容に加えて「一次承認者が期限内に応答しなかったため回ってきている」ことが分かる文言を入れておきます。

これにより、上位者は経緯を知らないまま依頼を受け取るのではなく、なぜ自分に届いたかを把握したうえで判断できます。

出典: Microsoft Learn「承認の使用」
承認エスカレーションの設定手順の3ステップ。タイムアウト設定→期限切れ分岐作成→上位者へ再依頼

催促と再依頼の使い分け

期限切れへの対応は、必ずしも承認者を上位者に差し替えるエスカレーションが正解とは限りません。

数日中に承認者が戻る見込みがあるなら、承認者はそのままに催促の通知だけを送るほうが、承認ルートを崩さずに済みます。

状況ごとにどちらが適しているかを整理すると、次のとおりです。

状況

適した対応

設定の要点

承認者が数日中に戻る見込み

催促のリマインド

期限切れの分岐内で元の承認者へ再通知するだけにとどめる

承認者が長期不在・退職している

上位者へのエスカレーション

Step3の構成で割り当て先を上位承認者に差し替える

どちらか判断がつかない

一次催促後、応答がなければエスカレーション

催促用の短いタイムアウトとエスカレーション用のタイムアウトを2段で設定する

判断がつかない場合の2段構成にすると、承認アクションを3つ連結する形になり、フローがやや複雑になります。

どこまで自動化するかは、申請の重要度と承認者の不在頻度を見ながら決めるのが現実的です。

承認者を金額に応じて複数ルートに分ける設定は、こちらで扱っています。


こんな課題を抱えていませんか?

「承認が止まっているのに誰も気づいていない」「催促のタイミングが担当者の勘任せになっている」「エスカレーション先をどう設計すればいいか分からない」

少しでもお心当たりがあれば、お気軽にご相談ください。

現在、Power Automateを使った業務自動化のお悩みをお伺いする 無料の個別相談 を実施しています。

よくある質問

Q. 期限切れと却下は同じ扱いになりますか?

いいえ、拾い方そのものが異なります。

却下は応答結果に「却下」という値が返るのに対し、期限切れは値としては返らず、承認アクション自体が「タイムアウト」の状態で終了します。

そのため却下は条件コントロール(応答結果の値)で、期限切れは実行条件の構成(「タイムアウトしました」)で判定します。

この2つを同じ扱いにしてしまうと、単に応答が遅れただけの申請まで却下扱いになるため、それぞれ別の仕組みで拾い分けます。

Q. 承認者が3人以上いる場合もエスカレーションは組めますか?

組めます。

複数人が割り当てられた承認アクションで期限切れになった場合、エスカレーション先の分岐でも複数の上位者を割り当てるか、代表者1人に絞るかを事前に決めておくと、再依頼後の流れが分かりやすくなります。

Q. エスカレーション先の承認者も応答しなかったらどうなりますか?

Step3で作った2つ目の承認アクションにもタイムアウトを設定し、その先に「実行条件の構成」で「タイムアウトしました」を指定したアクションを置けば、同じ仕組みでさらに上位の承認者へ回す3段階目を追加できます。

どこまで段階を重ねるかは、組織の承認階層の深さに合わせて決めてください。