省力化投資補助金はどんな自動化に使えるか?一般型とカタログ注文型の違い

省力化投資補助金はどんな自動化に使えるか?一般型とカタログ注文型の違い

省力化投資補助金という名前は知っていても、自社が使えるのかどうかは公募要領を読んでもよく分からない、という経営者の声をよく聞きます。

実際にはこの補助金には性格の異なる2つの型があり、どちらを選ぶかで対象経費も上限額も申請の手間も変わります。

2026年3月19日の改定でカタログ注文型の上限額が引き上げられたこともあり、いま調べ直す価値のあるタイミングです。

この記事では、一般型とカタログ注文型の違い、改定後の上限額、自社に合う型の判定基準を整理しています。

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省力化投資補助金の全体像

省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が設備やITツールを導入して省力化を進めるための補助金で、中小企業庁の事業として実施されています。

制度の中身は大きく2つの型に分かれていて、どちらを選ぶかで手続きの重さも対象経費の自由度もまったく違うのです。

一般型は、自社の課題に合わせて設備やシステムを自由に選び、投資計画を立てて申請する型です。

対してカタログ注文型は、事務局があらかじめ登録した省力化製品のカタログから選んで申請する型で、手続きが簡略化されている代わりに選べる製品の範囲が決まっています。

一般型とカタログ注文型の違いを整理した2枚のカード

次の表は、この2つの型の違いを整理したものです。

項目

一般型

カタログ注文型

対象経費の性質

自社の課題に合わせて選ぶ設備・システム投資(自由度が高い)

事務局登録済みの省力化製品カタログから選択(既製品中心)

上限額

750万円~8,000万円(賃上げ特例で最大1億円)

従業員規模別に設定(次の表を参照)

補助率

1/2(小規模事業者は2/3)

商品ごとにあらかじめ設定

クラウド利用費

対象経費に含まれる

製品によって対象範囲が異なる

受付期間

第7回は申請2026年7月1日開始・締切2026年7月31日

2027年3月末頃まで受付

一般型は対象経費の自由度が高い分、投資計画の策定や審査に相応の手間がかかります。

一方でカタログ注文型は、登録済みの製品から選ぶだけで済むため申請のハードルが低い型です。

ただし自社の業務に完全には合わない製品を選ばざるを得ない場合もあり、どちらが向いているかは次の判定基準とあわせて確認していきます。

2026年3月改定後のカタログ注文型上限額

カタログ注文型は2026年3月19日に上限額の改定があり、従業員20人以下の区分で上限が引き上げられました。

事務局が公開している制度改定のリーフレットをもとに、改定前後の変化を整理すると次のとおりです。

従業員規模

改定前

改定後

5人以下

200万円(300万円)

500万円(750万円)

6~20人以下

500万円(750万円)

750万円(1,000万円)

21人以上

1,000万円(1,500万円)

1,000万円(1,500万円・据え置き)

括弧内は、賃上げ特例を適用する場合の上限額です。

5人以下の区分は200万円から500万円へと2.5倍になり、3区分の中でもっとも大きく引き上げられました。

補助上限額は、各交付申請時点での従業員数、大幅な賃上げによる補助上限額引き上げの有無により決定します。
出典: 中小企業省力化投資補助金事務局「カタログ注文型 制度が変わります」(2026年3月19日改定リーフレット)

賃上げ特例の条件となる「大幅な賃上げ」の定義も、今回の改定で見直されました。

これまでは事業場内最低賃金を45円以上増加させることが条件でしたが、改定後は3.0パーセント以上増加させることが条件になっています。

改定にあわせて、2回目以降の交付申請にかかわる累計補助上限額のルールも整理されました。

累計の補助上限額は、各申請時点の補助上限額の2倍までとされていて、2回目以降の申請には前回の省力化効果報告に加えて、事業場内最低賃金の上昇要件が追加されています。

具体的には、前回の交付申請時と比較して3.5パーセント以上の賃金上昇が基準で、前回から2年以上経過している場合は7.0パーセント以上、3年以上経過している場合は10.5パーセント以上が条件です。

あわせて収益納付の制度も今回の改定で撤廃されました。

補助上限額は、交付申請の時点における従業員数と賃上げ特例の有無によって決まるため、申請時期がずれると適用される上限額も変わる点に注意が必要です。

一般型とカタログ注文型、どちらが自社に合うか

2つの型のどちらを選ぶかは、投資したい内容がすでに固まっているか、それとも既製品で足りるかによって変わってきます。

次の表は、判断材料を整理したものです。

判断軸

一般型が向くケース

カタログ注文型が向くケース

投資の中身

オーダーメイドの設備・システムを導入したい

登録済み製品の中に自社の業務に合うものがある

投資規模

カタログ注文型の上限を超える規模の投資を検討している

上限額の範囲に投資規模が収まる

申請の負担

事業計画の策定にある程度の時間をかけられる

早く簡潔に申請を済ませたい

導入までのスピード

計画策定から数か月かけてでも最適な投資をしたい

できるだけ早く省力化に着手したい

自社の課題に対してぴったり合う既製品がカタログにあるなら、カタログ注文型のほうが手続きも短く済みます。

反対に、業務フローに合わせた作り込みが必要な場合や、投資規模がカタログ注文型の上限額を超える場合は、一般型を検討する価値があります。

迷う場合は、まず事務局のカタログを見て自社の課題に合う製品があるかを確認してから判断する順番が現実的です。

申請の流れ

どちらの型を選ぶ場合も、申請までに準備しておく手順はおおむね共通しています。

Step1. GビズIDを取得する

申請には電子申請システムで使うGビズIDが必要です。

発行までに数日かかることがあるため、申請を検討し始めた段階で早めに取得しておきます。

Step2. 公募要領を確認し、対象になる投資かを見極める

一般型かカタログ注文型か、自社の投資内容がどちらの対象になるかを公募要領で確認します。

カタログ注文型を検討する場合は、事務局のカタログから自社の課題に合う製品を探す作業も、この段階で済ませておくと後の手続きがスムーズです。

Step3. 事業計画を作成し、必要書類を準備する

一般型は投資計画や賃金引上げ計画などの書類作成に時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを組みます。

カタログ注文型は必要書類が比較的少なく、選んだ製品の見積もりなどが中心です。

Step4. 交付決定後に発注し、実績報告を行う

交付決定の通知を受けてから発注や契約を行うのが原則で、決定前に発注してしまうと補助対象外になる場合があります。

導入後は定められた期限までに実績報告を提出し、その後の省力化効果の報告義務にも対応していきます。

補助金は交付決定前の発注が対象外になるなど手続き上の制約があるため、申請可否や採択の判断は必ず公式サイトで最新の公募要領を確認してください。

本記事は2026年度時点の情報であり、最新の内容は公式サイト(shoryokuka.smrj.go.jp)でご確認ください。

補助金を待たずに始められる自動化もある

省力化投資補助金は設備投資や登録製品の導入が対象で、審査や交付決定を待つ分だけ実行までに時間がかかります。

一方で、既存のGoogle WorkspaceやMicrosoft 365の契約範囲内でできる自動化は、補助金の交付を待たずに今日から着手できます。

たとえば請求書の自動発行や、メールの内容をスプレッドシートへ転記する仕組みなどは、追加のライセンス費用なしで作れる範囲です。

補助金の対象になるような規模の投資を検討しつつ、並行してすぐに手を付けられる自動化から着手しておくと、審査期間を無駄にせずに済みます。

Google Apps Scriptを使った具体的な着手手順は、次の記事で紹介しています。

どこから着手すべきかの判断基準は、次の記事で整理しています。

デジタル化・AI導入補助金と省力化投資補助金は対象になる投資の性質が異なるため、あわせて比較しておくと自社に合う制度を選びやすくなります。


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よくある質問

Q. 省力化投資補助金は生成AIツールの導入にも使えますか?

対象になるかどうかは、投資する内容が公募要領の対象経費に該当するかで決まります。

一般型かカタログ注文型かによっても対象の性質が異なるため、具体的なツールが対象になるかは公式サイトの公募要領で確認してください。

Q. 一般型とカタログ注文型は両方に申請できますか?

制度の詳しい併願条件は公募要領によって定められているため、両方への申請を検討する場合は公式サイトの最新の公募要領を確認してください。

併願条件は一次情報での確認が取れていないため、ここでは踏み込んだ記載を避けています。

Q. カタログ注文型の上限額は今後も変わりますか?

2026年3月19日の改定で上限額が引き上げられたように、制度は改定されることがあります。

申請時点の公募要領で最新の上限額を確認したうえで、余裕を持って交付申請のスケジュールを組んでください。

Q. 補助金の審査を待っている間、何もしないほうがいいのでしょうか?

審査や交付決定を待つ間も、既存の契約範囲でできる自動化は並行して進められます。

補助金が対象にする投資と、今すぐ着手できる自動化は性質が異なるため、両方を切り分けて考えると導入のスピードを落とさずに済みます。