毎日忙しく事務作業をこなしているはずなのに、何にどれだけ時間を使っているか、自分でも正確には答えられないという状態になっていませんか。
効率化しようと思い立ち、なんとなく目についた作業から手をつけてみたものの、しばらくすると元のやり方に戻ってしまった経験がある人も多いはずです。
事務作業の時間を減らすには、感覚で「これが無駄そうだ」と決めて削り始めるのではなく、まず何にどれだけ時間を使っているかを測ることから始めると、削る対象を間違えずに済みます。
事務作業の時間削減は「削る」前に「測る」から始める
事務作業を効率化しようとするとき、多くの人は測るという手順を飛ばして、いきなり削る対象を決めてしまいます。
面倒に感じる作業や、以前から気になっていた作業を優先して削ろうとした結果、実はその作業自体は月に数分しか使っていなかったという事態が起こります。
一方で、毎日当たり前のようにこなしている作業に、実は最も多くの時間を使っていたということも珍しくありません。
感覚で削ると、こうしたずれに気づかないまま作業を進めることになり、削減の効果も限定的なまま終わってしまいます。
そのため、削る前にまず1週間、自分の作業時間を記録して実測値をつかむことが最初のステップになります。
以下では、時間の測り方から集計の読み方、実際に削る順番、削減効果の数値化まで順に見ていきます。
事務作業の時間を測る方法(1週間の時間メモ)
時間を測ると聞くと専用のツールや厳密な記録が必要に思われがちですが、事務作業の棚卸しに必要なのはそこまで精密な記録ではありません。
15分から30分単位のざっくりとしたメモで十分です。
まず、1週間分の時間割のようなメモ用紙かスプレッドシートを用意し、作業を切り替えるタイミングで「何を」「何分くらい」やったかを一言だけ書き留めます。
たとえば「9:00〜9:30 メール確認」「9:30〜10:15 請求書入力」「10:15〜10:30 電話対応」というように、厳密な秒単位ではなく、ざっくりとした区切りで記録していきます。
細かく正確に測ろうとするほど記録自体が負担になり、途中で挫折してしまうため、多少のずれは気にせず続けることを優先してください。
記録する際は、作業内容だけでなく、その作業が毎日発生するものか週に1回程度かといった頻度のメモも一緒に残しておくと、次の集計の段階で役立ちます。
1週間続けると、日によってばらつきのある作業と、毎日ほぼ同じ時間帯に発生する作業の両方が見えてきます。
ツールを新しく導入する必要はなく、普段使っているメモ帳やスプレッドシートで十分に始められます。
記録を始めた最初の1日、2日は面倒に感じたり、書き忘れが出たりすることもありますが、そこで挫折せずに1週間続けてください。
1日だけの記録では曜日ごとの偏りが見えず、月初や月末に集中する作業を見落としてしまうためです。
どうしても毎回書き留めるのが難しい場合は、1時間おきにアラームを鳴らして「直前の1時間に何をしていたか」を振り返って書くやり方でも代用できます。
測った時間の集計と読み方
1週間分の記録が取れたら、作業ごとに件数と時間を集計し、どの作業に最も時間を使っているかを確認します。
このとき重要なのは、1回あたりの時間だけでなく、頻度も掛け合わせて見ることです。
1回あたりの時間が短くても頻度が高い作業は、積み重なると合計時間が大きくなります。
逆に1回あたりの時間が長くても、月に1回しか発生しない作業であれば、週単位で見た負荷はそれほど大きくありません。
次の表は、頻度と1回あたりの時間を掛け合わせて合計時間を出す考え方の例です。
| 作業 | 頻度 | 1回あたりの時間(例) | 週の合計時間(目安) |
|---|---|---|---|
| メール確認・返信 | 毎日3回 | 10分 | 約2.5時間 |
| 請求書入力 | 週2回 | 45分 | 約1.5時間 |
| 電話取り次ぎ・対応 | 毎日5回 | 5分 | 約4時間 |
| 月次資料の作成 | 月1回 | 3時間 | 週換算で約45分 |
この表はあくまで記録の読み方を示す例であり、実際の数値は自社の記録から出してください。
表にしてみると、1回あたりの時間が短い電話対応やメール確認のような作業が、実は合計時間で最も大きな割合を占めていることに気づくことがあります。
逆に、時間がかかると感じていた月次資料の作成は、頻度が低いために週単位で見ると合計時間はそれほど大きくないという場合もあります。
削る対象を決める前に、この合計時間の大きい作業から優先的に見ていくことが、効果の出やすい効率化につながります。
集計する際は、部署やチームで同じ作業をしている人が複数いれば、個人の記録を持ち寄って合算してみるとさらに実態が見えやすくなります。
1人分の記録では偶然の忙しさなのか慢性的な負荷なのか判断がつきにくい作業も、複数人分を重ねることで、組織として本当に時間を取られている作業かどうかが見分けられるようになります。
事務作業を削る順番(廃止・簡素化・自動化・外注)
集計で合計時間の大きい作業が見えたら、次にその作業をどう減らすかを検討します。
このとき、いきなり自動化やツール導入を考えるのではなく、廃止・簡素化・自動化・外注という順番で検討すると、無駄な投資を避けられます。
まず検討すべきは廃止です。
その作業が本当に必要か、誰も見ていない資料を惰性で作り続けていないかを確認します。
必要性が薄い作業は、自動化する前に廃止できないかを最初に疑うべきです。
廃止できない作業については、手順を減らせないか、簡素化を検討します。
たとえば承認のステップが多すぎる申請フローや、同じ情報を複数の書類に重複して転記している作業は、フォーマットを整理するだけで時間を減らせることがあります。
簡素化しても定型的な手順が残る作業については、自動化を検討します。
頻度が高く、毎回同じ手順で処理できる作業ほど自動化の効果が出やすく、事故コストが低い作業から着手すると失敗しにくくなります。
自動化する業務の優先順位のつけ方については、次の記事で判定基準を含めて詳しく整理しています。

最後に検討するのが外注です。
自動化しにくい判断業務や、社内の人手だけでは対応しきれない繁忙期の作業は、外部への委託を選択肢に入れます。
廃止や簡素化、自動化を先に検討したうえでなお残る作業だけを外注の対象にすることで、必要な範囲を絞り込んだ委託ができます。
順番を守らずにいきなり外注から検討してしまうと、廃止すれば済んだはずの作業まで委託費用として計上し続けることになり、コストが下がらないまま固定化してしまうため注意が必要です。
整理整頓や優先順位づけそのものも作業時間の短縮に効きますが、本記事の主眼は計測と削る順番にあるため、詳しくは別の機会に整理します。
削減した時間の数値化と続け方
作業を削ったあと、実際にどれだけ時間が減ったかを確認しないまま次の作業に取り組んでいる会社は少なくありません。
削減の効果は、最初に測ったときと同じ形式でもう一度記録を取ることで数値化できます。
削減施策を実施してから1週間、最初と同じ形式で時間メモを取り、Before・Afterで作業ごとの合計時間を比較します。
たとえば請求書入力を自動化する前は週1.5時間かかっていた作業が、自動化後は確認作業だけで週30分になったとすれば、週1時間の削減という形で数値化できます。ここで挙げた数値は、考え方を示すための例です。
この比較を月次で続けることで、削減効果が一時的なものか、その後も定着しているものかを確認できます。
削減した時間をそのまま空き時間として放置すると、別の作業がなし崩しに増えて元の忙しさに戻ってしまうこともあるため、浮いた時間を何に充てるかも合わせて決めておくと効果が長続きします。
たとえば、削減できた時間を後回しになっていた改善業務や、これまで手が回らなかった確認作業に充てるなど、あらかじめ用途を決めておくことで、削減の成果が可視化されたまま維持されやすくなります。
月末に業務が集中して残業が増えている場合、経理特有の締め作業の負荷が原因になっていることもあります。
そうした繁忙期特有の負荷については、次の記事でも扱っています。

何にどれだけ時間を使っているか、把握できていますか。
「効率化しようとしたが何から手をつけていいか分からない」「削ったつもりが元のやり方に戻ってしまった」「属人化した業務をどう扱えばいいか分からない」
少しでも心当たりがあれば、お気軽にご相談ください。
現在、事務作業の時間削減に関するお悩みをお伺いする 無料の個別相談 を実施しています。
事務作業の時間削減でよくある質問
Q. 何から着手すべきか分かりません
まず1週間、自分の作業を時間メモで記録することから始めてください。
記録を集計すると合計時間の大きい作業が見えてくるため、そこから廃止・簡素化・自動化・外注の順で検討するのが基本の進め方です。
Q. 効果検証はいつやればいいですか
削減施策を実施してから1週間から1か月の間で、最初と同じ形式の時間メモを取り直すのが目安です。
その後も月次で記録を続けると、効果が定着しているかどうかを継続的に確認できます。
最初から完璧な検証タイミングを決めようとせず、まずは1回試してみて、自社の業務サイクルに合う間隔に後から調整していく進め方でも十分です。
Q. 属人化した業務はどう扱えばいいですか
属人化している業務ほど、本人が忙しさを自覚しにくく、時間メモでも過小評価されがちです。
まずはその業務も同じように記録の対象に含め、他の作業と同じ基準で合計時間を比較したうえで、削る順番に組み込んでください。
本人にしか分からない手順が含まれている場合は、削減や自動化を検討する前に、その手順を書き出してもらう時間を確保することも忘れないでください。
手順が見える化されていないまま自動化やマニュアル化を進めようとすると、途中で作業が止まってしまうことがあります。