想定ケース
ここでは、従業員25名の広告代理店で営業担当4名が新規開拓の営業リストを手作業で作っているケースを想定します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種・規模 | 広告代理店・従業員25名 |
| 対象部署 | 営業(4名) |
| 対象業務 | 新規開拓先リストの作成~精査・優先付け |
お客様の状況と課題
新規開拓のリストは、営業担当が検索エンジンで候補企業を探し、会社名・所在地・連絡先・サイトのURLを1社ずつコピーして、スプレッドシートに貼り付けて作っています。
1リスト(50~100社程度)で2~4時間、1人あたり月2本ほど作るので、営業部全体では月およそ24時間がリスト作りに消えている計算です。
その分、本来の仕事である架電・訪問・提案の時間が削られています。
しかも作り方が人によって違い、項目も精度もバラバラで、他のメンバーが使い回せません。
忙しい月はリスト作りが後回しになり、新規開拓の動きそのものが止まってしまいます。
実現したいこと
- ターゲット条件を入れるだけで候補企業のリストが自動でそろう状態にする
- 営業担当の時間を「集める作業」から「精査と優先付け」に振り向ける
- リストの項目・形式を統一し、部内で使い回せるようにする
- 架電前の最終確認は人が行い、リストの精度を担保する
改修の概要
現状は、営業担当がターゲットのあたりを付けたあと、検索エンジンで候補企業を1社ずつ探し、会社概要ページを開いて必要な情報をコピーし、スプレッドシートへ貼り付ける、という流れです。
この繰り返しだけで、1リストに数時間かかるのが実情です。
改修後は、ターゲット条件(業種・地域・規模)を専用のシートに入力すると、生成AIエージェント(検索や情報整理といった複数の調査手順を自動でこなすAIの仕組み)が公開情報から候補企業を集めます。
会社名・所在地・連絡先・事業内容の要約は統一された形式でスプレッドシートのリストに整うため、営業担当の仕事は出来上がったリストの精査と優先付け、そして架電前の最終確認に変わります。
人の仕事を、集める作業から選ぶ作業に変える改修です。
収集と整形は自動化し、営業判断が必要な精査・優先付けだけを人に残します。
使用する技術構成
| 役割 | 使用技術 | 選定理由 |
|---|---|---|
| 現場の人が触る部分 | Googleスプレッドシート(条件入力とリスト) | 営業担当が普段使う画面のまま。条件を書けば結果が同じシートに返る |
| 裏側の処理(調査・収集) | 生成AIエージェント | 検索・サイト閲覧・情報の抜き出しという一連の調査手順を自動で繰り返せる |
| 裏側の処理(整形・記録) | スプレッドシートへの自動書き込み | 項目・形式を統一し、いつ・どの条件で作ったリストかを記録に残す |
効果試算
前提: 人件費単価3,000円/時(営業職の職種別単価・福利厚生込み概算・推定)
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 1リストあたり所要時間 | 約3時間 | 約1時間(精査・優先付けのみ) |
| 対応本数 | 月8本(4名×2本) | 同じ |
| 対応人数 | 4名 | 4名 |
| 月間工数 | 約24時間 | 約8時間 |
| 年間人件費換算 | 約86万円 | 約29万円 |
年間削減効果は約57万円(約190時間)と試算しています。
金額には出ませんが、架電・訪問に使える時間が増えること、リスト形式が統一されて部内で使い回せること、忙しい月でも新規開拓が止まらない体制になることも効果です。
運用コストの目安(構成パターン別・推定)
| 構成 | ランニングコスト(目安) | 向いているケース |
|---|---|---|
| A. 生成AIの有料プラン活用型 | 月数千円~1万円程度(利用プラン料) | まず小さく始めたい。リスト本数が月10本以下 |
| B. 営業リスト作成の専用サービス併用型 | 月1~5万円程度(サービス利用料) | リスト本数が多い。企業データベースの網羅性を重視 |
月8本規模ならAで十分に回ります。
構築費用は対象とする情報源や既存環境によって変わるため、個別にお見積りします。
リスクと対策
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 収集情報の誤り | AIが集めた社名・連絡先・事業内容に間違いや古い情報が混ざる | 正確性をAI任せにせず、架電前に必ず人が確認する運用をルール化する |
| 収集先サイトの利用規約 | Webサイトによっては自動収集を禁止している | サイトごとの利用規約(自動収集の可否)に配慮し、禁止しているサイトは収集対象から外す |
| 情報の鮮度 | 移転・廃業・社名変更が反映されていないことがある | リストに収集日を必ず記録し、一定期間を過ぎたリストは再収集してから使う |
| 運用の形骸化 | 条件設定が雑になり「使えないリスト」が量産される | 条件の書き方をテンプレート化し、月1回リストの命中率(商談化した割合)を振り返る |
導入の進め方と期間の目安
標準的には次の4ステップで、合計1.5~2ヶ月が目安です。
期間は推定で、対象とする情報源の数によって変動します。
Step1. ヒアリング・現状把握(約1~2週間)
現行リストのサンプルを拝見する。
必要な項目・ターゲット条件の型・除外したい企業の条件を洗い出す。
Step2. 構築(約2~3週間)
条件入力シートと収集の仕組みを構築する。
実際のターゲット条件で収集精度を検証する。
Step3. 並行運用(約1ヶ月)
従来の手作りリストと並行して使う。
情報の正確さと架電での使い勝手を実際の営業活動で確認する。
Step4. 本稼働
並行運用で問題がなければ切り替える。
以後も架電前の人の確認は残したまま運用する。
お客様にお願いすることは、現行リストのサンプルのご提供、並行運用期間中の精度フィードバック、営業ご担当者との週1回・30分程度の打ち合わせの3点です。
業務を止める切り替え作業はありません。
この構成が向く会社・向かない会社
この構成が効果を出しやすいのは、次のような会社です。
- 営業リストの作成が月数本以上あり、担当者が手作業で作っている
- ターゲット条件(業種・地域・規模)を言葉で説明できる
- 候補企業の情報が公開情報(企業サイト等)でおおむね足りる
逆に、リストの利用が年数回程度なら、名簿販売サービスの購入の方が安く済むため導入をおすすめしません。
非公開の情報(決裁者の個人連絡先等)が必要な営業スタイルにも向いていません。