契約書期限管理の自動通知

人材派遣業 従業員120名 総務
スプレッドシートGoogle Apps Script

想定ケース

ここでは、従業員120名の人材派遣業で契約更新の期限をExcel台帳と担当者の記憶で管理しているケースを想定します。

項目内容
業種・規模人材派遣業・従業員120名
対象部署営業事務(担当3名)・各営業担当
対象業務取引先との基本契約・派遣個別契約の更新期限管理

お客様の状況と課題

取引先との基本契約が約80社分、派遣スタッフごとの個別契約が常時300件前後あり、それぞれに契約期間と更新期限があります。

管理はExcel台帳と各営業担当の記憶の二本立てです。

台帳は営業事務が更新しているものの、期限が近い契約を拾い出す作業は月1回の目視チェック頼みで、営業事務3名で月に計6時間ほどかかります。

しかもチェックとチェックの間に期限を迎える契約は、拾い漏れることがあります。

実際に更新漏れが起き、契約が切れたまま派遣を継続してしまう無契約状態の期間が発生したことがありました。

派遣業では契約書面の不備が業務停止命令にもつながりうるため、経営リスクとして重い問題です。

加えて営業担当の退職・引き継ぎのたびに、どの契約をいつ更新するかの記憶が失われ、事務側の負担が増しています。

実現したいこと

  • すべての契約の期限を1つの台帳で一元管理する
  • 期限の90日前・30日前に、担当者と上長へ自動で通知が届くようにする
  • 通知後の対応状況(未着手・交渉中・更新済)が台帳上で見えるようにする
  • 担当者の記憶や目視チェックに頼らず、更新漏れが構造的に起きない状態にする

改修の概要

現状は、契約期限の管理がExcel台帳と営業担当の記憶に分かれており、期限が近い契約の拾い出しは月1回の目視チェックです。

チェックの合間に期限を迎える契約は個人の記憶頼みになり、実際に更新漏れが発生しています。

改修後は、まず基本契約と個別契約をGoogleスプレッドシートの契約台帳に集約し、契約ごとに期限日・担当者・上長を登録します。

この台帳をGoogle Apps Script(Googleスプレッドシート付属の自動化機能)が毎日確認し、期限の90日前と30日前に担当者と上長の両方へメールで自動通知する仕組みです。

通知を受けた担当者は台帳の対応状況欄を更新し、上長は30日前を切ったのに未着手の契約だけを一覧で確認できます。

月1回の目視チェックはなくなり、人の仕事は期限を探すことから、通知された契約への対応に変わります。

上長にも通知が届くので、担当者1人の見落としがそのまま会社の見落としに直結しない構造です。

使用する技術構成

役割使用技術選定理由
現場の人が触る部分Googleスプレッドシートの契約台帳営業事務が使い慣れた表形式のまま。対応状況欄(未着手/交渉中/更新済)で進捗を見える化
裏側の処理(期限監視)Google Apps Script毎日自動で台帳を確認し、90日前・30日前の契約を抽出。追加のソフト購入が不要
通知の届け先メール(担当者+上長の二重通知)普段の業務で必ず見る経路に届ける。担当者不在でも上長側で気づける
上長向けの確認画面台帳の絞り込み表示「期限30日以内かつ未着手」だけが並ぶ画面。全件を眺める負担をかけない

効果試算

前提: 人件費単価2,500円/時(事務職の職種別単価・福利厚生込み概算・推定)

項目BeforeAfter
期限の目視チェック月約6時間(3名合計)0時間(自動通知)
台帳更新・対応記録月約2時間月約2時間(変わらず)
頻度毎月(年12回)同じ
年間工数約96時間約24時間
年間人件費換算約24万円約6万円

年間削減効果は約18万円(約72時間)と試算しています。

ただし、このケースの価値の中心は時間削減より、無契約状態が構造的に起きなくなることにあります。

無契約状態は取引先からの信頼失墜や行政指導につながる経営リスクで、時間削減はその副次効果と位置づけるのが正確です。

運用コストの目安(構成パターン別・推定)

構成ランニングコスト(目安)向いているケース
A. スプレッドシート+Google Apps Script型(本ケースの構成)月数千円以内(実質はほぼ保守費のみ)契約件数が数百件規模。既存のGoogle環境で完結させたい
B. 契約管理クラウドサービス型月2~6万円(サービス利用料)契約書の原本管理・電子契約までまとめて移行したい

期限管理だけが課題ならAで足ります。

契約書の保管や締結フローまで課題なら、最初からBを検討する方が二度手間になりません。

構築費用は契約種別の数と通知ルールの複雑さによって変わるため、個別にお見積りします。

リスクと対策

リスク内容対策
台帳への登録漏れ台帳に載っていない契約は通知も届かず、仕組み全体が空振りする新規契約の締結時に台帳登録を必須ステップとしてワークフローに組み込む。登録されるまで契約手続きが完了しない運用にする
通知の見逃し・慣れ通知が日常化して読み飛ばされる通知は該当契約があるときのみ送り、毎日の定期便にはしない。30日前通知は上長にも届くため、担当者単独の見逃しで止まらない
台帳の入力ミス期限日を誤入力すると誤ったタイミングで通知される契約書の原本PDFへのリンクを台帳に持たせ、通知時に原本を確認できるようにする。日付欄は形式チェックで異常値を弾く
取引先情報の取り扱い契約条件を含む台帳を複数名で共有する閲覧・編集権限を営業事務と管理職に限定し、共有リンクの発行を禁止する設定にする
構築者の退職で保守不能内製型の典型的な死に方通知ルール・台帳の構造・改修手順のドキュメントを納品物に含める

導入の進め方と期間の目安

標準的には次の4ステップで、合計1.5~2ヶ月が目安です。

期間は推定で、既存台帳の整備状況によって変動します。

Step1. ヒアリング・現状把握(約2週間)

現行のExcel台帳と契約書の現物を拝見し、契約種別・期限のパターン・通知すべき相手を整理する。

台帳に載っていない契約がないかもここで棚卸しする。

Step2. 構築(約2週間)

契約台帳・自動通知・上長向け確認画面を構築し、テスト用の日付データで通知が正しく飛ぶことを検証する。

Step3. 並行運用(約1ヶ月)

従来の月1回の目視チェックを続けながら自動通知を動かし、通知の内容とタイミングが目視チェックの結果と一致することを確認する。

Step4. 本稼働

一致を確認できたら目視チェックを廃止する。

以後は新規契約の台帳登録をワークフローに組み込んだ運用に移行する。

お客様にお願いすることは、現行台帳と契約書現物のご提供、契約の棚卸しへの立ち会い、並行運用期間中の通知内容の確認の3点です。

棚卸しの段階で台帳に載っていなかった契約が見つかることが多く、この時点でリスクが1つ減ります。

この構成が向く会社・向かない会社

この構成が効果を出しやすいのは、次のような会社です。

  • 期限のある契約・免許・資格を常時100件以上抱えている
  • 更新漏れが金銭または信用の重大な損失につながる業種である(派遣業・不動産業・建設業の許認可等)
  • 新規契約の締結フローに台帳登録のステップを組み込める

逆に、契約が数十件で更新時期も年1回に集中しているなら、カレンダーへの手動登録で足ります。

契約書の原本管理や電子契約化まで一気に進めたい場合は、期限管理単体ではなく契約管理サービスの導入から検討する方が適切です。

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相談は無料です。ご相談いただいても、契約の義務はありません。
送信後は2営業日以内に担当者からメールでご連絡し、オンラインの無料相談(30〜60分)で課題を伺います。